『少年メリケンサック』中年のパンク魂 今さら年下のバンドなんか聴けない

少年メリケンサックを観た時、バンド経験がある人なら思わず「あるある」と口にしてしまいそうなストーリーと思った。

メイプルレコードの新人発掘担当として働くかんな(宮崎あおい)はインターネットで「少年メリケンサック」というパンクバンドを見つけ、社長(ユースケ・サンタマリア)に面白いバンドを見つけたと報告する。

早速、かんなが見つけた少年メリケンサックのライブ動画を観た社長は、かんなに「これはパンクだな」と言った後、かんなに「うちで扱っている音楽は何だ?」と問う。

メイプルレコードが取り扱っているジャンルは、ギターポップなどのジャンルで、少年メリケンサックのようなパンクバンドとは無縁だが、社長は「俺はこんな下品な奴らが大好きなんだよ」と感動してしまい、かんなに少年メリケンサックにアポと取るよう命令をる。この日でかんなの契約が終了し、この後かんなの送別会がある予定であったが、少年メリケンサックを見つけたため契約延長になった。

かんなはメイプルレコード退職後、実家で父(哀川翔)が営む回転すしを手伝うつもりだったが、少年メリケンサックを見つけたことで契約延長になるとは予想外であった。かんなは早速、ベーシストの秋夫(佐藤浩市)がいる江戸っ子という大衆居酒屋に行くため高円寺に向かいそこで出会ったのは、動画の秋夫ではなく中年男の酔っ払い男性だった。かんなは驚き、その中年男性にPCで少年メリケンサックのライブ動画を見せると中年男性は、自分であることを言い懐かしいとも言う。

なぜなら、そのライブ動画の少年メリケンサックの解散ライブだからである。

かんなは頭の中を整理するため、秋夫に確認し、この動画は1983年に行われたライブであった。
秋夫の中ではまだ続いているそうだが、かんなは今までの話は無しにしようと帰ろうとした時に社長から電話が。

少年メリケンサックの動画をUPしたら10万アクセス突破ということで、かんなは逃げるに逃げられなくなってしまう。

秋夫は、かんなに
嘘っていうものはギリギリまで突き通すんだよ。当日に今までより最高のライブにしたら嘘は嘘じゃなくなる。」と言い、かんなは妙に説得力を感じてしまい奇跡を信じることに。

秋夫がギターを弾くから春夫(木村祐一)はベースを弾くように東京に連れて来るよう言われ、かんなは春夫の元に行く。

春夫は「せっかくだけど俺の中ではもう終わってるから」と断り、かんなは秋夫の話をして春夫の表情が変わる。かんなは春夫に秋夫は、高円寺のシド・ヴィシャスと呼ばれてるなどと言い、春夫は自分より先に兄にあったことで怒ってしまいかんなに帰るよう言う。

リハーサルの日、スタジオには秋夫、ドラマーのヤング(三宅 弘城)とボーカルのジミー(田口 トモロヲ)がいた。ジミーは車椅子に乗って呂律が回らず廃人のように見えるかんなだが、久し振りにジミーと再会したヤングは「ジミーさん、随分良くなりましたね」と大喜びしている瞬間に、かんなは「これで」と突っ込む・・・

春夫がいないまま、リハーサルが始まる。秋夫はフェンダーのストラトキャスターとマーシャルと足元にはチューブスクリーマーが置いていた。ヤングのドラムが鳴り秋夫はギターを鳴らすが音が出ない。

慌てた表情でチューブスクリーマー等、足元に置いているエフェクターを踏むが音が出ずにスタジオのPAに音が出ないとクレームを言うが、PAがすぐにマーシャルのスイッチを押してギターの音が爆音で鳴るが、全然ダメで下手糞過ぎてしまいかんなは、こんな演奏だと学園祭にも出れないと少年メリケンサック達に言うが、
ヤングは「あのね、栗田さん、俺ら元々上手くなかったし」と言い訳を「そんなの知ってます。」とキレるばかり。
するとドアからGibsonのハードケースを持った春夫が現れた。

秋夫は春夫に「よう。」と軽い挨拶をするが春夫は無視しながら楽器の準備を。

春夫のハードケースからGibsonの白のレスポールカスタムが出て来て秋夫は「カスタムじゃねぇかよ」と言って春夫からレスポールを取り出そうとすると春夫は「触るな」と怒鳴る。

春夫は秋夫に「黙ってベース弾け豚野郎」と言い秋夫はフェンダーのプレシジョンベースを持ち、秋夫のレスポールから流れるハウリングでジミーが立ち上がり、かんなは「ジミーが立った」と驚くがジミーの奥さん曰く別に立てない訳でないらしい。
秋夫が少年メリケンサックのニューヨークマラソンのコードをベースで弾き「1234」とカウントを言い演奏が始まるが、やっぱり下手であったが、
かんなは、彼らの奇跡を信じることにしてツアーを結構することにした。

ライブ初日は名古屋のライブハウスで少年メリケンサック結成の場所でもあった。また、春夫のバンドが秋夫に壊されたライブハウスでもあり、春夫は複雑な気持ちになっている時に秋夫が「お前の糞みたいなバンドが」と余計なことを。


少年メリケンサックが、中年男性ということはライブ当日まで誰も知らず、メイプルレコード社長も楽屋まで挨拶に来たが
かんなは、嘘を隠すため「今、カミソリで喝を入れているので危険ですよ」とデタラメなことを言いその場しのぎ。

大雨の中、名古屋中の不良が少年メリケンサックのライブを楽しみに押しかけ、社長はかんなに名古屋はパンクの聖地であることを説明し、そのために最初のライブを名古屋に選んだと社長までもが楽しみの状態で観客の一人であった。

中年姿の少年メリケンサック達が登場すると盛り上がっていた客席は静かになってしまい
社長は「これじゃ、中年メリケンサックだ」と戸惑いブーイングの嵐が。

秋夫は「これから奇跡を見せてやる」とニューヨークマラソンの
イントロを弾くが、少年メリケンサックの演奏は、めちゃくちゃで、高校生バンドにも劣るほどとしか言えない。

ライブ終了後
秋夫は「今の音楽がつまらないから俺たちに集まったんだろ」と言うが
社長に「昔話はどうでもいい。
今日、一曲でも金の取れるライブ出来た?」と説教されてしまう。
ツアーは続くことになり下手糞な演奏続きとしか言えない。
大阪のライブハウスでメイプルレコードのバンドと
対バンすることになり、ライブはやっぱり下手糞で他のバンドから陰口を言われてしまい
それを聞いた春夫は、彼らのステージに乱入して殴ってしまい
それを見た秋夫とヤングは、春夫を止めるのではなく春夫の行動に加勢してしまい警察が来て大騒ぎに・・・かんなはストレスが爆発してしまい少年メリケンサックに愛想が尽きたため、彼らから逃げる。

それを見た秋夫は「完全な職場放棄だ」と言い、かんな抜きで次のライブハウスに向かうことになるが
途中、ガソリン切れで、走って向かうが、春夫は秋夫に
「どうせロクなライブ出来ないし馬鹿にされるから」ということで
弱音を吐く。

だが、秋夫は「やりたいからやる。子供の時は大人に馬鹿にされて今は子供に笑われてもライブはやりたいからやる。今やらなかったら俺はお前らに何するか分からないぞ」と怒鳴りライブハウスを探す。
その時、かんなは恋人のライブを見ていたが
途中で秋夫に言われた言葉が引っ掛かりメリケンサックの
ライブ会場に向かってしまった。
ライブハウスに到着したかんなは、盛り上がっているので
ステージを見ると少年メリケンサックの演奏が見事にまとまって
いるのであった。ステージの上からかんなを見た
少年メリケンサック達は笑顔になり
だんだんとバンドらしくなって行くのであった。

途中、田舎の夏祭りに少年メリケンサックは参加し
旅館で、かんなは彼らにインタビューをする。

そこで、秋夫と春夫の過去が分かり次は、この二人の
地元でライブの予定だった。秋夫は春夫に父親は死んだ
と伝えられていたが、実は父親は生きていたのであった。

久し振りの実家で、死んだと思っていた父が生きていた
ことで驚き、父親は秋夫に中指を立てる。

そんなことをされたのか秋夫は余計に驚き
ライブ開始前に春夫がギターの弦を交換していた
時に秋夫が春夫に「お前、嘘つきだな」
「親父がああなったの俺のせいか?」と聞き
春夫は秋夫に「あんたそっくりの倅にあった」とセリフを吐く。
余計に兄弟のみぞが深くなるばかり・・・
ライブ開始になり、ニューヨークマラソンの間奏に入ると
秋夫と春夫は楽器を持ち喧嘩をするが、見事にお互いの腕に
命中してしまい病院へ。

テレビ出演の話も来ていたことを
かんなに教えられるが
かんなは「あんた達なんかに教えない」「パンクって何ですか」
というセリフを吐き捨て彼らの前から去る。
ヤングは「俺ら、どうせ伝説なんかなれないんですから、せめて
ちゃんとしましょうよ。」と強い口調で訴える。

「ピストルズもクラッシュも死んで今更、年下のバンドなんか
聴けねぇよ」ヤングは熱く彼らに言い「次、いつ再結成するの?
また25年後、秋夫さんなんてどうせ死んでるよ。こんな
奴どうせ長生き出来るわけないもん。だから、ちゃんとしましょうよ」
泣きながら訴えるヤングに感動してしまう。
ヤングの熱弁が終わった時にジミーが「ピストルズはやってるよ」と
言い他のメンバーは「やっぱりベースはシドだ」「どうせ金だろ」
「あのアルバムは微妙だった」と今のピストルズについて話して
いると秋夫が「おい、ジミーお前ちゃんと喋れるじゃねぇか」と驚く。
ジミーは何か拙そうな顔をして口を閉じるが
喋れた方が良いに決まってる。

かんなは「秋夫と春夫は二人で一人」ということに気が付きバリカンを持って元カレの所へ行き元カレの髪型をパンクにした。

テレビ出演はニュース番組のワンコーナーで、少年メリケンサックがステージ披露することになっており秋夫と春夫が一緒にギターを弾くことになっていた。
秋夫が右手で春夫が左手で、その光景を見た社長は、かんなに
「パンクの何かをお前に教えられるとはな」と絶賛
ベースは、かんなの元カレ。髪型がめちゃくちゃでウケた。

ニューヨークマラソンが始まるが、歌詞はニュースマラソン何て歌っていない・・・
農薬飲ませろと歌っているのであった。

かんなは慌ててテレビ局を飛び出しパンクなんか大嫌いと叫ぶ。

後日、かんなは父親の回転寿司を手伝うが、父親は何が何円か全然覚えておらず、社長から電話が鳴りメリケンサックのライブのチケットを何とかしてほしいと頼むが断られ、ラストシーンになる。

ラストは少年メリケンサックのライブステージでジミーがギターとベースで頭を・・・

Writing by:店員A

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