陣内孝則監督の実話ROCKERS

陣内孝則が、在籍していたTHeROCKERS時代の自伝映画である。
1996年にバイクによる交通事故で死去した
元メンバーのギタリストである谷信雄への思いから、
この映画の企画がスタートし、
笑いと涙のあるストーリーとライブシーンにもこだわった作品である。

ロックンロールジプシーズなどが、
新たにレコーディングされた楽曲を使用、
劇中に玉木と塚本が使用しているギターは谷の遺品である。
また、監督である陣内孝則も劇中ラストの近く場面で数秒登場する。
ROCKERSはスピード感溢れるロックンロールバンドであり、
1976年陣内孝則が高校2年の時に結成され、翌年に谷信雄が加入する。
1982年に解散するが1989に再結成され1990年から1991の間のみ活動。

ROCKERS時代の陣内孝則はライブ中に、
客がステージに上がって来そうになると客を蹴り飛ばしキレたことが多かったらしく、
血の気も多かったし若気の至りだったと語っている。
ROCKERS、ルースターズと博多ロックは今でも勢いが良く、
現在はHEATWAVE等が活動している。
スピード感と分厚いビートが欲しいのであれば、
ROCKERSのようなバンドが良いだろう。
劇中に玉木がROCKERSのギタリストオーディションで
マイナースケールを弾いてから
ルースターズの楽曲を演奏する場面になり、
レスポールカスタムタイプとジャズマスターのサウンドの混ざったバンドはお勧めである。

劇中はルースターズを多く演奏しているが、
元々はローリング・ストーンズなどのコピーをしていた。

福岡のロックバンドらしく楽曲、サウンド共にシンプルな構成となっており、
ミドルエンドの効いたベースサウンドと
ハイエンドのクランチで歪ませたギターサウンドの中に
ドラムはしっかりとリズムを刻みつつ、
ボーカルはやりたい放題のパフォーマンスを繰り広げているのだが、
当時はそれが当り前だった。

だが、今ではエネルギー溢れるバンドは、
貴重と言えるほど、少なくなりつつある。
そのせいか、ロックンロールというジャンルが輝ける場所がない。

夏フェスでは、ロックファンが喜ぶアーティストが出演しているのに、
最近は時代のせいか売れ線と呼ばれるバンドも出演するようになってしまい
このままでは、日本のロックシーンは崩壊するとしか思えない。

自分のエネルギーをステージで、
爆発と爆真させるロックンローラーが邪魔者扱いされる時代。
こんな時代に逆らったロックといえるようなバンドが日本に出てくることを期待したい。

writing BY:店員A

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